マーケティングミックスとは?【経済学部の学生が解説】
何か製品を売ってたり、サービスを作ってる方々じゃなくても、SNSでフォロワーを集めたい方々や、スポーツをやってる方々なども知っておいて損はないと思います。
また消費者の立場からも、この企業はこんな戦略を採用してるんだな、などと見方が変わるかもしれません。
また、マーケ業界の方々と話すときに、専門用語を知っていると話が早い、というメリットもあります。
- マーケティングミックスってなに?
- 具体的にどう使うの?
この記事ではこの様な疑問を解決します。
それでは、早速内容に入っていきます。
マーケティングミックスとは?
まず広い意味での「マーケティングミックス」から入ります。
いくつかの考えるべきポイントに分けて、戦略を考え、それらをミックスさせるという「マーケティング手法」のことです。それぞれの要素で戦略を考え、またそれと同時に、それらの最適な組み合わせを考えるというイメージです。
他のサイトでは、下記の様に言われています。
マーケティングミックスは、マーケティング戦略において、望ましい反応を市場から引き出すために、マーケティング・ツールを組み合わせることである。つまり、企業や非営利組織が顧客や生活者に商品やサービスの販売をしたり、何かを遂行したりするために、マーケティングの使用可能な複数の手段を組み合わせて戦略をたて、計画、実施すること。
マーケティングミックス 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
狭義でのマーケティングミックス
狭義でのマーケティングミックスは、4Pや4Cと呼ばれる、マーケティングのフレームワークがあり、このことを指して「マーケティングミックス」と呼んでいる場合もあります。4P分析や4C分析とも呼ばれていますね。この意味で使われるのが多いです。
フレームワークとは、枠組みという意味の英単語で、何度も使い回される考え方に、名前がつけられています。
4Pと4Cの歴史
4Pと4Cの歴史について軽く紹介します。
4PはEdmund Jerome McCarthy(エドモンド・ジェローム・マッカーシー)が1960年に提唱したものです。そして、4CはRobert F.Lauterborn(ロバート・ロータボーン)が1993年に提唱した概念です。
4Pは、そもそも顧客志向で考えられていたものですが、後から登場した4Cと比較されることによって、売り手側の視点からの考えであると言われています。
4Cは4Pをより顧客視点から、考え直したものです。基本的に同じものと見なして大丈夫です。
4pとは
4Pの名前は、Product (製品・サービス)、Place (流通チャネル)、Promotion (顧客との情報のやり取り)、Price (価格)というマーケティングをする上で考えるポイントである4つの英単語の頭文字をとってそう呼ばれています。
- Product (製品・サービス)
- Place (流通チャネル)
- Promotion (顧客との情報のやり取り)
- Price (価格)
マーケティングをする時に、この4つの要素に分けて考えて、それらを組み合わせていきます。
なので、個別に考えるのではなく、それぞれの要素間の親和性や整合性が大切です。
環境分析の結果をみて、基本戦略を決めて、それに沿った形で、具体的な実行戦略を考えていくのですが、この4つの要素間で相乗効果を生み出せるものにするのが大事です。
まずは4Pの各要素について大まかに解説します。
まずざっくりと4Pの要素一つ一つについて解説します。マーケティングする上でどれも大切な要素となります。ではさっそく書いていきます。
Product (製品・サービス)
まず考えるべきポイントは「製品」です。どの様な製品、サービスを作るのかというのを必然的に考えるはずです。競合他社と比べて、機能を増やすのか、削るのか、スペックは高くするか、低くするか、デザインはどうするか?など、考えることは沢山あります。
これも、ほかの要素と組み合わせて、相乗効果を作れる様に考えていきます。
Place (流通チャネル)
作った製品やサービスを、どこでどう売るのか?を考えるのが、Placeです。販売経路を考えます。
狙ったターゲットに届きやすくすることが大切です。また、これは、お客さんが製品を買う時に、払うコストを減らすことに繋がるので、これもまた重要な要素と言えると思います。
Promotion (顧客との情報のやり取り)
これは、そのままですが、どのようにプロモーションするかです。どうやってお客さんの販売意欲を高めるか?どうやって製品を知ってもらうか?ということを考えます。コストをかけずに口コミで広げるのか、広告を打つのかなどを、他の要素と相性がいい形を模索します。
ですが、高い商品は、しっかり宣伝して、いいイメージを消費者に植え付けないと、試してもらう前にためらってしまうかもしれません。などと、これも他の要素との関係を考えながら、決めていきます。
Price (価格)
製品やサービスを作る時に、価格も上記の要素と組み合わせて、狙いをもって考えていくのがいいと思います。相場に合わせるのも一つの手ですが、値段が高い方が、お客さんの満足度があがることもあるので、基本戦略に沿ったものを選択していきます。
例えば、ルイビトンのバックなどが、5千円など安く売られていると、あまり価値を感じないかもしれません。逆にユニクロのTシャツが値段を上げると、顧客が離れていってしまうかもしれません。
Product (製品・サービス)についてより詳しく解説。
Product (製品・サービス)について考えるときに、考えるポイントをご紹介します。機能的特性と、物理的特性に分けて考えます。
まず、作る製品・サービスの機能的特性を決定して、それを実現させるように物理的特性を選定します。ですが、機能的特性を考えるときに、技術力的な問題も考慮しなければいけないので、この機能的特性は物理的特性的に実現可能か?を考えつつ決めていきます。
機能的特性とは?
機能的特性とは、その製品やサービスは、どのような機能を持つのか?役割を果たすのか?というものです。
この機能的特性はさらに、「本質サービス」と「補助的サービス」に分けられます。
本質サービスとは、その製品やサービスがお客さんのどの様なニーズを満たしているのか?という、それを購入する一番重要な目的です。まずこれを決定します。例えば、自動車なら、移動するためで、レストランなら、お腹をいっぱいにするため、などです。
一見同じようなレストランでも、本質サービスが異なれば、狙う顧客層が違うので、競合していません。例えば、レストランであれば、「早くお腹いっぱいになりたい」と「彼女とお洒落な雰囲気で楽しい時間を過ごしたい」というように、同じようなレストランでも本質的に提供してる価値が違います。
補助サービスは、レストランなら、帰り際にもらえるキャンディーなどです。本質サービスをサポートするようなものです。これ目当てで来てる訳ではないが、あると嬉しい、みたいなイメージです。
物理的特性とは?
物理的特性とは、「機能的特性により満たそうとしている顧客のニーズ」を満たす為に、どのような製品、サービスにするかです。
例えば、カメラであったら、「綺麗な写真が撮りたい」というニーズを満たすには、それが達成できるような高品質のカメラを作らなければいけません。iPhone12proなどは、レンズが3つ付いています。
競合してるようで、していない例
競合してるようで、していない例があります。任天堂のスイッチと、ソニーのPS4などです。これらは物理的特性でみると、どちらもゲーム機であるので、一見競合しているように思えます。
ですが、どのような本質サービスを提供しているか?という観点で機能的特性をみると、任天堂のスイッチは「家族や友人と同じ空間で手軽にゲームで遊びたい」というニーズを満たしてると考えられます。
それに対して、ソニーのPS4は、「一人でゲームの世界に入り込み没頭したい」というニーズを満たしていると考えられます。
その理由は、Promotionの話に少し入ってしまいますが、CMなどをみると、スイッチの方は、家族で一緒に楽しんでいるところが出てきます。それに対して、PS4はオンライン上で友達と交流するような、仮想現実に入りこんだCMが多いです。そこから考えるに、それらのニーズを満たす為に作ったという意図があるのかと思います。
また、遊べるソフトをみても、スイッチは比較的簡単で誰でも遊びやすいソフトが多く、PS4は少し難しいが、やりこみ要素があるようなソフトが多いと感じます。
また、それらを踏まえて、物理的特性にもう一度目を向けると、スイッチは持ち運びしやすいように軽量で、かつ友達と対面で遊びやすいように、小さいコントローラー二つに分けられるようになってます。Joy-Conですね。
ですが、PS4は比較的に持ち運びしづらいので、やはり家でオンラインで繋がりやすいです。スペック的にも、リアルな世界観を作ると、本体が大きく重くなってしまうのかもしれません。
ですが、全ての人がこれに当てはまる訳ではなく、もちろんスイッチのゲームをやりこむ人もいれば、PS4のゲームも家で集まって楽しめます。中には、かっこいいからインテリアとして買って家に飾っている人もいるかもしれません。
なので、かぶっている顧客もいますが、実質的には、競合していないと捉えることも可能です。
Productを考える上での注意点
自社の製品を考えるときの注意点として、「カニバリ」は避けたほうがいい、というのがあります。
カニバリとは、自社の製品同士が競合してしまっている状況です。
なので顧客は、自社の、ビールと発泡酒を比べて、発泡酒を買っただけかもしれないってことですね。
これでも、顧客満足度は上がるかもしれないので、いいのですが、既製品もしっかり売れていて強いのなら、カニバリしない商品を作るのがいい戦略と言えます。
製品の分類
色々な製品の分類方法があると思いますが、マーケティングに役立つような、分類方法をご紹介します。
製品がどの分類の「財」かにによって、Productの他の3つの要素との相性が変わってきます。また、製品やサービスをまとめて「財」と呼びます。経済学的な言い回しですね。
購入時の行動の違いによる分類
まずは、顧客の購入時の行動の違いによる分類をしていきます。
- 最寄り品
- 買い回り品
- 専門品
こちらの3つに分けられます。もっと詳しく書きます。
最寄り品
最寄り品は、消費者が欲しいと思った時に最も近い場所で購入する製品を指します。
トイレットペーパーなどの日用品とかですね。乾電池、飲料水、お菓子など、コンビニなど近くにある店で買うことが多い財です。コンビニなどは、いろいろな最寄り品が集まっているので、消費者の利便性が高まってます。
買い回り品
いくつかのお店を回って、吟味した後に購入する製品を指します。
服・家電製品などですね。また、家電量販店は買回り品を一か所に集めて売ることによって、消費者の利便性を高めたものです。
専門品
消費者が購入するのに、特別な知識や、ちょっとした専門性が必要になるような製品を指します。
楽器などですね。
アクセスしにくい場所でもお客さんがわざわざ買いに来てくれます。このタイプのお店だと特にwebサイトなどを開設して、情報を公開することが大切になってくると思います。専門的な知識をブログで公開して、アクセスを集めて、お店を知ってもらうPromotion戦略と相性がいいと思います。
購入の目的の違い
大まかな購入の目的の違いによって分類できます。
- 生産財
- 消費財
この二つに大きく分けられます。それぞれの意味を書きます。
生産財
生産財は、原材料や部品など、何かを生産する為に使われる財のことです。生産のために使う機械もそうですが、それらをメンテナンスするサービスも生産財に含まれる。その多くは、いわゆる、BtoB、B2Bです。
経済学用語なので、聞きななれない方も多いかもしれませんが、文字通りで覚えやすいです。
消費財
消費財は、購入者が一般消費者である財です。
生産財よりも購入者が非合理的な判断をして、買ってしまうことが多いです。その場の雰囲気に流されたり、よく調べない購入するのが多い気がします。衝動買いなどですね。「後から考えると、失敗したな」などです。いや、後から思い出すこともないかもしれませんね。
品質評価のしやすさの違い
財の品質評価しやすさよって分類することもできます。
その財の性質上、評価がし易いものや、しづらいものがあります。
- 探索財
- 経験財
- 信用財
この三つに分類できます。詳細について書いていきます。
探索財
探索財は、買う前にその製品の品質がわかるものです。家電などがこれに当たります。パソコンなども、スペックを比べれば、これができて、これができないなど、ある程度、買う前に把握できます。
なので、自社製品の情報をしっかり顧客に届けることが大切です。webサイトに掲載するのがいいと思います。また他社製品と比べられるため、自社の製品の強みを提示して、差別化することが大切だと考えられます。
経験財
経験財はその性質上、購入しないと、評価できない財です。例えば、情報をなどを売っているセミナー、スクール、本などです。
その他には、飲食店もこれに当たります。口コミや写真や値段などは把握できますが、実際に食べてみないと、それが自分の好みに合うかは分かりません。美容院や、シャンプー、化粧品も同じです。
なので、まず試してもらうことが重要です。初回割引、テスターの用意、小分けして買いやすくする、無料で配る、一部の情報を無料にする、などです。
このように、初回のハードルを下げてとにかく試してもらうことが、重要になるので、そこが考えるべきポイントです。
信用財
これは、購入して使ってみても、その品質が一般的な人々では、判断が難しいような財です。
例えば、専門性の高い人々が提供するようなサービスです。医者や弁護士などがあります。
医者の場合は、例えば、症状が治ったとしても、それが薬や治療によるものなのか、自然治癒力によるものなのかの区別が難しいです。また、弁護士の場合は、紛争が解決したとしても、もっといい方法が存在していたかもしれません。それは専門性を借りているので、判断が難しいです。
なので、口コミなどは、丁寧に話してくれた、などの実力以外のところの評価が多いです。これも実力という議論はおいておきます。
なので、売り上げを増やすなら、実力を上げるより、丁寧な対応などのPromotion戦略が大切と考える人も多いと思います。ですが、顧客は後から付いてくると考え、実力を増やすのがいいと思います。
お金のためじゃないという意見もあるかと思いますが、お金があれば救える命も増えると思います。利益は、生み出した価値を測る尺度の一つです。
Place (流通チャネル)についてより詳しく解説。
Place (流通チャネル)戦略について考えるときに、考えるポイントをご紹介します。
大まかにPlace戦略を考えるときに、どのタイプの戦略なのか?というのを2つに分けられます。
- 開放型チャネル政策
- 閉鎖型チャネル政策
この二つに分かれます。
開放型チャネル政策、閉鎖型チャネル政策のPlace戦略の2つの基本形について解説して、上述した、最寄り品、買い回り品、専門品と相性がいい戦略についても考えていきます。
また、製品をどこで売るか?という物理的なことだけではなく、卸売業者を挟むか、挟まないかなど、考えるポイントは沢山あります。また販売経路を最適化することによって、顧客が支払うコストを削減することにもなるので重要です。
開放型チャネル政策とは?
開放型チャネル政策とは、製品を幅広く、とにかく置いてもらう店を増やす戦略です。製品を取り扱ってもらえる流通業者はどこでも取引を行います。
この戦略のメリットは、販売店が増えるほど、顧客が製品を買いやすくなります。顧客にとって沢山の店舗があったら便利ですよね。店舗数を増やせば、商圏が広がります。
この戦略のデメリットは、ブランド管理が難しいことです。取り扱い店舗数を増やせば、どんな売り方をしているか管理が難しくなります。また、価格の維持が難しいというのもあります。独占禁止法で再販売価格の拘束がされているためです。ここに関しては、法学のジャンルの別の記事で解説する予定です。
卸売業者同士、小売業者同士が、価格競争を行ってしまう可能性もあります。
また、最寄り品と相性抜群です。
閉鎖型チャネル政策とは?
閉鎖型チャネル政策とは、製品を狭い範囲で売る戦略です。直接販売するか、少数の認めた卸売業者など、取り扱い店舗を制限します。
この戦略のメリットは、ブランド管理がしやすく、価格も維持しやすいことです。委託販売、代理店販売の場合は、価格指示は違法ではありません。
価格はブランドのイメージにも影響を与えるので、価格をコントロールできることで、ブランド管理がしやすいです。また売り方なども、指定できます。
デメリットは、チャネル(流通経路)が限られるため、商圏が狭まることです。なので売る量は少なくなることが予想されます。
専門品と相性がいいです。そもそもターゲットが少数の人なのと、顧客自身のモチベーションが高く、少し遠くても店舗に顧客がきてくれるので、商圏を広げることはあまり必要ないです。
それよりも、限られた店舗で顧客に丁寧に情報提供したり、webサイトなどでの情報公開などに、リソースを割くほうが効率的だと思います。
いいとこどりしてる例
コンビニなどのフランチャイズ戦略も閉鎖型チャネル政策のタイプです。ですが、店舗がかなり多いので、最寄り品を売ることに成功しています。売り方など、契約に違反した場合は、違約金なども設定できます。なので実質コントロールできています。資本とノウハウとブランドがあるからこそできる戦略だと思います。
ニトリは、様々な場所に店舗がありますが、直営店で販売を行っているので、しっかり管理できています。また、仲介する業者がいなくなるため、手数料を取られないので、コスト削減に繋がり、安い値段でいい商品の提供を可能にしてます。
Promotion(顧客との情報のやり取り)についてより詳しく解説。
Promotion(顧客との情報のやり取り)戦略について考えるときに、考えるポイントをご紹介します。
これも、大まかにPromotion戦略を考えるときに、どのタイプの戦略なのか?という2つに分けられます。
- プッシュ戦略
- プル戦略
大まかに、この二つに分けることができます。
また、方法としては、下記の方法などがあります。
- 広告
- 販売員活動
- 広報活動
- 販売促進
では、詳細を書いていきます。
プッシュ戦略
これは、作り手側が自ら、お客さんに商品を勧めていく戦略です。例えば、DMをしたり、メールを送ったり、ビラ配りをしたりというように、自分から売り込んでいきます。飛び込み営業も含みます。「売り込み」ですね。
それと、一般的に多いケースは、「メーカー→卸売業者→小売業者」のように、営業を自らして、その売り方などを指導したりします。このように自ら行うタイプのものをプッシュ戦略と呼びます。
知名度が低い場合や、競争力がない状況では、自分から売り込む必要があります。「飛び込み営業など」もこれに当たります。
プル戦略
プル戦略は、逆に、顧客の方からお店にきてくれるのを促します。「呼び込み」ですね。
CMの出稿、Webサイト、新聞、雑誌、などに広告を出したりする「広告」がこれに当たります。広告を出したら、後は待つだけなので、プル戦略に分類されます。
また、「SNSでの情報発信」、「コンテンツマーケティング」、「口コミ」などもこれに当たり、上手く使うと効果的だと思います。
Promotionにおける広告
広告は、プル型に分類されます。
そして、広告費はどれくらいなのか?と効果はどれくらいなのか?という視点から考えていくのがいいと思います。また、少ない広告費で成果を上げるには、ターゲット層にしっかり届いているか?という視点で考えるといいと思います。
広告といえば、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、看板広告などがあります。
ですが、費用対効果を測定しづらい広告媒体もあります。テレビ、看板、新聞などに広告を出稿する場合、たとえ顧客が増えたとしても、それが何を原因としてなのかを把握するのが難しいです。ですが、ブログなどのアフィリエイトリンクや、YouTube広告から、直接申込があった場合は、その人数をデータとして把握できます。なので費用対効果が計測しやすいです。
また、テレビ、看板、新聞などに広告を出稿する場合だと、不特定多数が目にすることになるのでピンポイントで顧客層に届けるのが難しいです。なので、広告費が高額になり費用対効果が薄れてしまう可能性があります。ですが、YouTube広告などネット上での広告は、年齢や性別、関心などに分けてピンポイントで広告が出せるので効果的です。
逆に、テレビ、看板、新聞などに広告を出稿する場合の、不特定多数が目にするメリットもあります。例えば、直接購入する人じゃない人に、その存在を知らせることで、箔がつく可能性があります。テレビCMでやってる製品ということで、安心感を与える、など付加価値を生むことができるかもしれません。
広告に関しては、長くなるので、ここからは別記事で解説します。
販売員活動
販売員活動は、「お客様と販売員が対話する」などの活動を通して売っていきます。専門的な知識が提供できます。
一方的に情報を出すのでは、興味ある方々にしかリーチできませんが、あまり興味がない方々の知識レベルを引き上げることができれば、購入意欲が高まり、新しい顧客獲得に繋がるかもしれません。
広報活動
広報活動は、TVに取り上げてもらえるように、情報をTV局に送ったりする活動です。これは第三者からの「報道」であるので、自ら自社の製品をお勧めするより、効果的です。
ですが、デメリットもあります、第三者の方々の意見が放送されるので、企業側でコントロールが難しいです。
販売促進
これは、なにかイベントを行ったりして、売り上げを増やすような試作です。
例えば、ポッキーの日とかバレンタインなどが有名です。データでみても、この期間は売り上げが一時的に増えます。ですが、その多くが一時的な効果であるため、賛否両論です。
ハロー効果(Halo Effect)
ハロー効果というものがあります。
あるものの目立った特徴により、他の要素の評価が引きずられ、歪められるというものです。
例えば、好きな人が聴いている曲は、いい曲に聴こえて、好きになってしまう、などです。
それを利用して、好感度が高い芸能人や、有名人をCMに起用することで、ハロー効果により、製品の評価のアップを狙うというのもあります。
ターゲットに相性がいい人を選ぶのがいいかもしれません。スポーツ用品なら、プロの選手など。
下記の記事で詳しく解説しています。
Price(価格)についてより詳しく解説。
最後に、Price戦略を考えるときに、考えるべきポイントをご紹介します。価格は、財に大きな影響を与えるため、慎重に設定するべきだと思います。
では、詳細を書いていきます。
コストプラス法(コストプラスプライシング)
製品の価格を考える時に、コストプラス法というのがあります。
これは、製品の作成にかかったコストを考えて、それに一律で10%利益を上乗せする、などの様に、コストから値段を決めていく手法です。
ですが、この方法を取ってる企業もあるようなのですが、これは、古い価格設定の戦略です。これだと、売り手側の視点で価格を決定していますが、どれだけコストかけて作ったかは顧客からすると、あまり関係なくて、どれくらいその製品に価値を感じるか?が重要です。
駆け出しプログラマーが10時間かけて書いたコードでも、凄腕プログラマーが、10分で書いたコードでも、中身が一緒なら、顧客は同じ値段で取引したいはずです。
労力に対して、お金を支払うのではなく、感じた価値に対してお金を支払うと捉えた方が、現実に即していると思います。
こちらがコストプラス法について詳しく書いた記事です。
支払い意欲(WTP)
WTPとは、willingness to payで、「支払い意欲」のことです。
基本的に、顧客がここまでなら支払ってもいいなと思える金額のことを指します。
企業側は基本的にコスト以上の金額を設定します。(最初は赤字でも売るなど、細かいことはおいておきます。)
なので、WTP > 設定価格 > コスト このような関係が成り立ちます。これが基本形です。WTPより設定が高い場合は製品は売れません。
また、下記のような関係が成り立ちます。
なので、WTPを高めて価格を上げるか、コストを下げていくことで、利益は増えます。
品質以外に、WTPに影響を与える要因とは?
WTPを上がるには製品の品質を上げれば良い、というのがあります。WTPを上げることができれば、設定価格を上げてもそれなりに製品が売れるので、利益が増えます。ですが、コストも一緒に増えてしまうと、利益は増えません。
なので、品質以外で、WTPに影響を与える要因を考えていきます。
- ブランド
- ストアネーム
- 保証
- 生産国
- 希少性
などがあります。1つずつもう少し詳しく書いていきます。
ブランド
これは単純に、イメージしやすいと思います。ルイ・ヴィトン、グッチ、コーチ、などは、品質も高いと思いますが、服などの素材はどっかでカンストすると言われています。
なので、これ以上値段が上がるというのは、ブランドによる価値だと思います。デザイン的な美しさもあると思いますが、「ハイブランドだから高い」という感じで、ブランドはWTPに影響を与えると言われています。
ストアネーム
製品がどこで売っているのか?というのが、WTPに影響を与えると言われています。
例えば、伊勢丹などの百貨店で売られている製品と、100均などで売っている製品だと、同じような製品を置いていたとしても、百貨店の製品の方が高く売れると思います。高いものが集まっている場所には、価値のあるものが並んでいるんだろう、という想像からだと予想します。
それと、例を挙げると、高級ホテルなどでは、コカ・コーラが通常のペットボトルくらいの量で、1000円で売っていたりと、売っている場所によっては、高いです。これも、高い場所からの眺めと、一緒に売ることによって、価値を高めています。
あと、ペニンシュラ東京のルームサービスで一風堂のラーメンが、3400円で提供されていたりするらしいです。
保証
テレビなど電化製品が、保証期間を定めることによって、WTPが上がります。
せっかく買ったのに、すぐ壊れたら嫌なので、耐久力が気になります。ですが3年間の保証などが付いていると、何かあっても3年間は使えるだろうと予想がつくので、WTP(支払い意欲)が上がります。また、すぐ壊れる商品に保証をつけてたら、企業側は負担が大きくなるので、自信の裏付けでもあります。
生産国
どの国で作られたか?ということによって、WTP(支払い意欲)は変換すると言われています。
例えば、フランスのチーズとか、イタリア発のピザ屋とか、インド発カレーだと、「なんか美味しそう」、というような感じですね。
希少性
希少性によっても、WTP(支払い意欲)は変換すると言われています。
期間限定や数量限定などに目がない人などがいますが、それもこれの一種だと思います。また、富裕層向けのビジネスとかだと、それが欲しいと思ってくれれば、いくらでもお金を出す、とかになるので、絵など、希少性が高いものの価格が高騰します。ペントハウスなどもですね。
Odd Price vs Even Priceの使い分け
Odd Price(端数価格)とは、切りのいい数字です。例えば、2000円などです。
これに対して、Even Priceとは、切りの悪い数字です。特にOdd Priceから少し引いたような数を指します。1980円などです。
Odd Priceでは、製品の品質が高いという印象を与えることができます。
逆に、Even Priceでは、安いという印象を与えやすいです。
なので、お得さをアピールする場合と、品質をアピールする場合で使い分けるのがいいPrice戦略です。
価格のシグナル効果
シグナル効果とは、ある一つの情報から、ほかの情報を推測させる、させられる現象を指します。
例えば、価格が高い製品は、品質もよく感じます。これはたしか、ローランドさんも使っていた戦略ですね。「満足感をもってもらうために、価格は高く設定してる」、のようなことを言っていました。
英語では単に「signalling」とも呼ばれます。日本だと、「シグナリング」とかでも使われます。
ヴェブレン効果
ヴェブレン効果とは、価格が高いことで、価値を生むような現象を指します。見せびらかしの需要を狙っています。
通常、製品の品質が高くなれば、価値があがり、価格が高くなる、という順番ですが、因果関係が逆に、なるような財があるということです。
ハイブランドや高級車などがこれだと思います。ハイブランドを安売りしたら、売れる量も減ると予想されます。通常は安売りしたら沢山の量が売れるのですが、逆です。
下記の記事で詳しく解説しています。
ヴェブレン効果とは?価格が高いほど売れる。【マーケティング】
セグメンテッドプライシングとトレーディングアッププライシング
二つの価格戦略をご紹介します。
- セグメンテッドプライシング
- トレーディングアッププライシング
この二つをもう少し詳しく書いていきます。
セグメンテッドプライシング
セグメンテッドプライシングとは、性能によってはっきりと価格帯を分けるという値段の付け方です。
例えば、1000円、3000円、6000円、10000円、15000円、などです。
iPhoneやMacBookなども、様々な性能のものを用意しています。安くていいものを欲しい人のニーズや、高くても高性能のものが欲しい人のニーズを満たせています。
これだと、幅広いニーズを満たせます。
また、製品の価格が低い場合は、値段の変化に敏感に反応しますが、価格帯が高くなると、少しの値段の上がり下がりは気にならなくなるという現象が起きるので、徐々に値段の幅を広げることをお勧めします。
1000円のペンと、1800円のペンだと、違いを感じるのに、1万円のペンと、1万800円のペンは、どちらも同じに感じます。
消費者の立場でも、高い金額の買い物をする場合は、気を付けましょう。20万円のパソコンも、22万円のパソコンも変わらないと捉えがちですが、スーパーなどでは、1000円単位で節約したりします。
下記の記事で詳しく解説しています。
トレーディングアッププライシング
5100円の万年筆と、5500円の万年筆だった場合、どうせなら高い方を買う、という心理が働くことが多いです。トレーディングアッププライシングとは、これを利用して、競合している同じ価格帯の商品を販売する時、敢えて少し価格を高く設定して、顧客を獲得する戦略です。
なので競合他社が5500円のネクタイを販売している場合、少し値段を低く設定して顧客を奪う戦略を立ててしまいそうなところですが、5200円でネクタイの価格を設定すると、逆に、顧客が5500円のネクタイの方に流れてしまうことがあります。
なので安易に価格を安くするのは注意が必要です。値下げは慎重に行いましょう。
下記の記事で詳しく解説しています。
まとめ
マーケティングミックスとは、マーケティングにおいて、実行戦略に位置づけられます。いくつかの考えるべきポイントに分けて、戦略を考え、それらをミックスさせるという「マーケティング手法」のことです。
考えるべきポイントを4つに分ける代表的なフレームワークとして、4Pについてもご紹介しました。
4Pを使う上では、それぞれの要素間が相乗効果を生み出せる様に、考えるのが重要です。
約1万4千文字と、長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。