バリューチェーン分析とは?めちゃ簡潔に解説。【コツがあります。】
さっそく書きます。
バリューチェーン分析とは、事業活動の一連のプロセスを、いくつかの工程に切り分けて、「どのように価値を創出しているのか」という観点から、企業の経営を分析するマーケティングツールです。
事業活動のプロセスを「価値の連載」(バリューチェーン)として捉えます。
では、図で解説します。
バリューチェーンとは?
上の図の様に、まず、事業活動を「主活動」「支援活動」の2つに分けます。
この図では「主活動」の部分が5つの工程で構成されていますが、これを「バリューチェーン」と呼びます。
この全ての工程で価値を創出していて、その価値の創出の連鎖を図で表したものです。
主活動とは?
主活動とは、全ての工程が価値を創出していて、どれか一つでも欠けると、その事業が成立しないものです。直接的に売上に関わる活動のことですね。
「どのような順番でどのような価値が創出されているか」という観点から、事業プロセスを捉えています。
支援活動とは?
その事業を間接的にサポートするような活動のことです。
例えば、人事・労務管理のところで言うと、「優秀な人材の採用」が思いつきます。ですが、この活動が上手く機能しなくなったからといって、すぐに顧客に価値を提供できなくなる訳ではありません。なので、支援活動という位置付けです。
ですが、「優秀な人材の採用」を疎かにすると、長期的にみると、主活動が上手く機能しなくなることも考えられるので、その意味では重要であると考えられます。
バリューチェーン分析の成り立ち
バリューチェーン分析は元々、アメリカの経営学者マイケル・ポーターさんが1985年に書いた「競争優位の戦略(Competitive Advantage)」の中で提唱して広まりました。
マイケル・ポーターさんは、1982年に史上最年少でハーバード大学の教授に就任し、その時、彼は35歳という驚きの若さです。現在はハーバードビジネススクールで活躍しています。
バリューチェーン分析の有効性
よりよい経営判断をするためには、「様々な視点から今現在どのような事業を行っているのか把握」して、それを評価する必要があります。
なぜ様々な視点が大切かというと、いくら論理的な経営判断をしたとしても、その前提がずれてしまっていたら、論理的に導き出した経営判断、ひいては経営戦略は正しいとは言えません。
AならばB、BならばC、なのでAならばCと論理的に結論を出しても、そもそも出発点のAが間違っていたら意味を持ちません。
なので現状の把握を多角的思考により、より正確な前提を認識することがまず大切です。
じゃあ、どんな視点で事業を把握、評価すればいいのか?を考えるとき、その一つとなるのが「バリューチェーン分析」です。
事業活動のプロセスの中でどのように付加価値が生み出されているのかを考えることが、他社との差別化を考えることに繋がると思います。差別化ができれば、それが競争優位性に繋がり、よりよい経営判断をすることに役立ちます。
バリューチェーン分析の例(製造業)
もう一度、この上の図をみて下さい。
この図は、製造業の会社のバリューチェーン分析の例です。なので、バリューチェーン分析を実際に行う場合は、この図と同じではなく、自社にあった価値創出プロセスで作ってみて下さい。
上の図の例では、大まかにこの5つの活動で価値を創出しています。
購買物流
購買物流のプロセスでは、製造に必要な原材料を仕入れています。ニーズに合った製品を作る為に、何社もサプライヤー(仕入先)を検討したり、購買力(バイイングパワー)を使って安く仕入れたり、自社の物流の仕組みを使って、工場まで効率的に運んだりとこのプロセスは価値のあるものだと思います。
このプロセスがあまり生産性が高くない場合、例えば自社の持ってる情報量が少なくて、どの仕入先の原材料がよいのか、どんな特徴があるのかなどがわからない、もしくは、効率的に自社まで運ぶ物流システムを持っていない場合は、ここではあまり「価値」を生み出せていない可能性があるので、アウトソーシング(外注)の方がコスパが良いかもしれません。そのようなことを検討します。
価値がしっかり生み出せているなら、その価値をさらに生産的に生み出せるように、物流システムの更なる効率化などを考えてもいいかもしれませんね!
製造
製造も、よりコスパがいい製品開発ができないか?とか、他社と差別化したユニークな製品を作れないか?もっと高性能な製品を作れないか?など考えることは多そうですね!
出荷物流
製品を販売店に運ぶことを自社で行っていて、アウトソーシングより効率がいいなら、OKですが、コスパが悪いなら、出荷物流のプロ企業に任せるのも一つの手だと思います。
販売・マーケティング
販売・マーケティングも大切になります。いい製品を作っても、製品を知ってもらって、良さを説明しないと売れません。情報を整理して分かりやすく顧客に届けるのも、顧客は価値を感じてくれるはずです。
アフターサービス
アフターサービスも大切だと思います。製品の使い方とか、保険などをつけることにより、「安心」という価値を付け加えています。
支援活動
上記の主活動がしっかりと生産性が高くに機能するためには、支援活動が大切になります。
優秀な人材の育成、生産性を高める新しい技術開発、消耗品の調達など、主活動が滞りなく運営できて、さらに生産性向上には欠かせません。
バリューチェーン分析と相性がいいフレームワーク
バリューチェーン分析と組み合わせて使うことができる、相性の良いフレームワークを紹介します!
VRIO分析
バリューチェーン分析をする上で、いくつかの工程に分けました。その工程を競合他社と比較して、強いのか弱いのかを判断する時に使えるフレームワークがVRIO分析です。
自社の経営資源の競争優位性を把握する時に役立ちます。
- Value(経済的価値)
- Rarity(希少性)
- Inimitability(模倣困難性)
- Organization(組織)
この4つ項目について分析すると、その経営資源が競争優位性が高いのかどうかが分かります。
この記事で詳しく解説したので、ぜひご一読ください。
VRIO分析とは?網羅的に解説しました。【ニトリの事例あり】
バリューチェーン分析をする上でのコツ
上手くバリューチェーン分析をする「コツ」を紹介します。
コストを考える
それぞれの工程で、「コスト」を考えると良いと思います。
なぜなら、今現在のコスト配分を把握することで、そのコストの再分配により、生産性を上がられる可能性があるからです。
例えば、自社が高付加価値を出してる工程に、多くリソースを割くことで、自社の強みをさらに強化して差別化できるかもしれません。
また、低負付加価値の工程は、アウトソーシング(外注化)することで、リソースを他の工程に回すことが、効率的な経営に繋がるかもしれません。
ボトルネックを意識的に探す
事業活動の過程で、ボトルネックになっているところを発見できれば、そこに何か工夫をして、それを改善できれば、事業成績は伸びると思います。
例えば、営業がボトルネックになっていて、自社の製品の生産量は営業成績によって決まっている場合、そこで製造の工程にリソースを割いても売上は上がらず、在庫が増える結果になります。
他には、出荷物流がボトルネックの場合は、他の営業や製造に力を入れたことろで、出荷物流を改善しないと、売上は伸びません。
このように、「ボトルネック」に着目することで、どこにリソースを割くべきなのかが見えてきます。
バリューチェーン分析する上での留意点
バリューチェーン分析する上で、コストの再分配やボトルネックを探すことが「コツ」であると記述しましたが、それだけに囚われていけません。
なぜなら、企業理念を考慮する必要があるからです。
コスパがいいから、短絡的にコスト削減や、ボトルネックの改善、事業プロセスの外注をすれば良い訳ではないと、僕は、考えます。
短期的には生産的だけど長期的に考えたら、非生産的であるとか、逆に、短期的には非生産的だが、長期的にみたら生産的などがあると思うから、他の様々な視点、企業理念も考慮に入れて、経営判断をするべきだと思います。それが留意点です。
まとめ
バリューチェーン分析を用いて、事業活動を、「価値創出の連鎖」として捉えることで、どのように付加価値を高めるか?とか、ここは外注化しようかなど、いろいろ考える場面で役立ててもらえると幸いです。
ありがとうございました!