STP分析とは?超重要なマーケティングツールです。【分かりやすい】
この記事では、STP分析の概要、分析方法、コツ、活用事例、などについて図を使いながら解説します。
マーケティングに興味のある方は、STP分析について知っておくべきです。なぜなら、経営判断に大きな影響を与え、経営戦略を策定する場面で、大いに役立つマーケティングのフレームワークだからです。超重要です。
では、解説していきます!
STP分析とは?
STP分析とは、マーケティング戦略を考える上で考えるべき、下記の3つの要素の頭文字を取ってそう呼ばれています。
- Segmentation(セグメンテーション)
- Targeting(ターゲティング)
- Positioning(ポジショニング)
まず、簡潔に解説すると、市場を細分化して、狙う顧客層を決定し、自社の立ち位置を決める。これがSTP分析です。
これだけだと、「それってなんやねん!笑笑」という声が聞こえてきそうなので、詳しく解説します。
安心してくださいっ!書いてますよ!笑笑
STP分析の起源
STP分析の起源は、自動車メーカーのゼネラルモーターズ社を業界トップにしたアルフレッド・スローンさんが、所得階級によって、欲しい車のニーズが違う点に着目したのが「はじまり」と言われています。
スローンさんは、顧客を多数のセグメントに分けて、様々な種類の車を大量生産する戦略で、単一車種量産スタイルのフォード社に打ち勝ちました。
うまく使えば、STP分析の破壊力は相当のものだと思います。シンプルなフレームワークですが、奥が深く、使いこなすと強いと思います。
STP分析のマーケティングにおける位置付け
マーケティングは、上記の図のような順番で行うのが主流です。
そして、STP分析は、「基本戦略」の階層に位置付けられます。そしてとても重要であると僕は、考えます。STP分析だけでもそれなりの経営戦略を考えられるくらい重要です。
流れを少しだけ解説します。
まず自社を取り巻く環境分析をします。なぜなら、環境分析をしないと、どう自社が立ち回れば良いか判断できないからです。
環境分析は大きく分けて、「外部環境分析」と「内部環境分析」に分けられるのですが、その2つに分けて、環境分析に役立つフレームワークを紹介します。
外部環境分析
自社ではどうすることもできない、外部環境を分析して、その外部環境を活かした立ち回りを考えるべきです。外部環境を自社が変えるのは、不可能ではありませんが、かなり難しいので、外部環境に寄り添って戦略立案するのが無難です。
外部環境分析で使える、マーケティングのフレームワークを紹介します。
- PEST分析
- 5フォース分析
- 3C分析
PEST分析に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
PEST分析とは?事例を交えて分析方法を網羅的に解説。
5フォース分析に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
5フォース分析とは?その方法を解説。【事例あり】
3C分析に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
3C分析とは?その方法、留意点、コツ、などについて解説【徹底的】
内部環境分析
外部環境分析も大切ですが、自社が持ってる経営資源の分析も大切です。なので内部環境分析も一緒に行うことをオススメします。
内部環境分析で使える、マーケティングのフレームワークを紹介します。
- VRIO分析
- バリューチェーン分析
VRIO分析に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
VRIO分析とは?網羅的に解説しました。【ニトリの事例あり】
バリューチェーン分析に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
バリューチェーン分析とは?めちゃ簡潔に解説。【コツがあります。】
STP分析の具体的な方法
では、STP分析の具体的な方法を解説します。
基本的に、S→T→P、の順番で行いますが、Pまでいって、「あ、これ違うな」と思ったら、Tに戻ったり、Tを考えながらSを決めたりなど、いったりきたりしながら考えます。
それぞれの段階で考えるべきポイント、例、コツを紹介します。
Segmentation(セグメンテーション)市場細分化
STP分析の「S」の部分です。ここでは、市場細分化をします。それは、何かと言うと、市場を同じような「ニーズ」を持つグループに細かく分けることを意味します。
例えば、本を執筆する時に、市場にはどんなニーズがあるのか?を考えているとします。まず、男性と女性では、好む本の傾向が違いそうなのでそこで分けられます。そして女性のグループの中で、少女向けと大人層向けでは、ニーズが異なりそうです。ここでも分けられますね。そして、さらに、働いている女性と専業主婦でも分けられそうです。
上記の様に、同じようなニーズを持つ「属性」によって細かく市場を細分化することによって、他社との差別化、新しいニーズを発見することに役立ちます。
全ての人向けに製品を作ってもいいのですが、それだと特徴がなく、選ばれる理由が作れないかもしれません。
例えば、「高性能の洗濯機!」と売り出すのは、幅広いニーズを拾おうとしてますが、「短時間で回せる洗濯機!」これだと、時間がなく忙しい人のニーズをピンポイントで狙っているので、選んでもらえそうです。さらに、「短時間で回せる大型洗濯機」と「短時間で回せる小型洗濯機!」だと、「家族の人数」という観点から市場を細分化しています。
この様に、市場で新しい製品を作る場合、市場を細分化して、顧客のニーズにピンポイントで迫ることによって、顧客から選んでもらえる理由を作ることができます。
では、どの様な属性で市場を細分化すればいいのか、その例を記述します。
人口統計的変数(デモグラフィック変数)
人口統計的変数に着目して、市場細分化すると上手くいくことがあります。考えるべき項目は下記のようなものです。
人の基本的な情報でセグメンテーション(市場細分化)するものです。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 所得階級
- 家族構成
- 学歴
上記のような「属性」でセグメンテーション(市場細分化)してもいいかもしれませんね。
厚生労働省のサイトで人口動態統計が載っています。参考までに。
人口動態調査-厚生労働省
地理的変数(ジオグラフィック変数)
住んでる地域によって、同じ様なニーズを持っていることもあります。
例えば、北海道は冬の気温が低いので、暖房などが売れそうです。
注目すると良い例をいくつか記述します。
- 気候
- 国
- 県、市町村
- 人口密度
- 文化
- 宗教
- 経済規模、経済の発展度
- 生活習慣
総務省統計局のサイトに人口統計が載っています。参考までに。
総務省統計局ー人口推計
心理的変数(サイコグラフィック変数)
人の心理に着目することで、見えてくるものがあると思います。一番イメージしやすいかもです!
- 価値観
- 性格
- 趣味
例えば、数学が好きな人は、プログラミングに興味がある人が多いイメージがあります。論理的に物事を考えるのが好きだからでしょうかね??
行動変数(ビヘイビア変数)
行動に着目して、市場細分化することも上手くいく場面が想像できます。
- 購入時間
- 購入頻度
- 購入プロセス
上記のような、セグメントに分けるのがいいかもしれませんね!
例えば、トイレットペーパーは普通8~16個入りが多いですが、2袋買う人が多いというデータが取れた場合、そもそも、20個入りとかにしたほうが、売れる可能性もあります。差別化にもなるかと思います。(実際は1袋買う人が多そうですが、笑笑)
Targeting(ターゲティング)狙う顧客層の決定
STP分析の「T」の部分です。ここでは、「S」の段階で、市場を同じような「ニーズ」を持つグループに細かく分けたと思うのですが、そこからどのセグメントを狙うのかを決定します。
上述したフレームワーク「VRIO分析」などで、自社の経営資源の競争優位性を明確化した後で、その経営資源を活かせるようなセグメントを狙うことをオススメします。
もう一度、記事を載せておきます。
VRIO分析とは?網羅的に解説しました。【ニトリの事例あり】
その意味では、次の段階の「P」も意識しながら、「T」を決定すると上手くいきそうですね!
6R
ターゲティングを行う上で、考えるべきポイントの頭文字を取って「6R」と呼ばれるものがあるので紹介します。
- Realistic scale(市場規模)
- Rate of Growth(成長性)
- Rank & Ripple Effect(優先順位と波及効果)
- Reach(到達度)
- Rival(競合)
- Response(効果測定が可能か)
「Realistic scale」は狙う市場の規模のことです。小さくセグメンテーションしすぎても、その市場を狙いやすさは高まりますが、取れた時の美味しさが少なくなるので、丁度いい塩梅を狙うのが重要です。
「Rate of Growth」は狙う市場の成長性です。今は小さくても、成長する見込みがあれば、参入すると後々美味しいです。
「Rank & Ripple Effect」は、他にもっと優先するべき市場がないか検討するのと、その市場を取ったら、波及効果を生み出し、その周りの他の市場にも有利に参入できそうかどうかです。
「Reach」はその市場でマーケティングしやすいかどうかです。例えば、高齢者層向けのビジネスだと、ネットの利用率が低いのでwebマーケティングが通用しづらいです。
「Rival」は競合が強いかどうかです。
「Response」は効果測定ができるかどうかです。マーケティングの効果測定がしにくい市場は、データを取って改善していくことが難しいので避けたほうがいいでしょう。例えば、自社が広告代理店だとします。看板とかに広告を出しても、効果測定が難しいです。ですが、webに広告を出稿するとクリック率などデータを取ることができ、費用対効果も把握できるので改善しやすいですね。
Positioning(ポジショニング)
STP分析の「P」の部分です。ここでは、自社の立ち位置を決めます。競合他者を分析して、空いているポジションを取ることをオススメします。
なぜなら、競合他社が多いポジションを取ると、資金力やチーム力の勝負となったり、単純に価格競争になるので、お互いに収益性が落ちる可能性があるからです。
そこで他者よりいい製品を作れるなら、そのまま真っ向勝負もありかもしれませんが、競争他社も負けじと改善し、価格を落としてきたら、お互いに苦しくなります。ですが、これをやってしまうのが日本型の経営だと聞いたことがあります。
でも顧客からしたら、競争が激しい方が、よりよい製品を安い価格で買えるので良いですけどね。なので海外で働いて日本の製品を買うのが一番コスパがいいかもしれませんね!
STP分析を行う上での留意点
STP分析を行う上での、留意点、注意点を2つ紹介します。
セグメンテーションする時の規模
どのくらい細かく市場細分化すればよいのか?を考える時に、広く狙い過ぎると、選ばれる理由が少なく競合に負けてしまう可能性があります。なので、より細かいセグメントを狙えば成功確率は上がると思います。ですが、小さくしすぎると、そこの市場で勝っても、絶対数が少なすぎると、お金が流れてこない、という点です。その塩梅が勝負を分ける重要な点であると、僕は、思います。
その時に、どう考えるかです、大企業が狙うほどの市場ではないが、個人や小さい企業が取れれば十分に美味しい規模を探すのがいいと思います。
個人の場合だと、1万人を集めて、毎月100円づつもらえば、月間の売上が100万なので、稼ぎ出したい目標金額から逆算して探すのもありだと思います!
美味しいポジションを取った後も大事
例えば、上手くSTP分析をして、誰も手をつけていない市場を開拓したとします。ですが、そのままでは真似してくる新規参入者が出てくる可能性が、その市場が美味しければ美味しいほど高くなります。例えば、Youtuberが儲かっている!とか、プログラミングが熱い!とかなると、どんどん参入してきます。そこで、どうやって参入障壁を築くか?まで考えると、長期的に事業が上手く回ります。それは、ターゲティングを行う時にも既にこの視点を持つべきだと思います。参入障壁は高いのか低いのかも考えて、市場を選ぶ感じです。もしくは、先行者有利のような業界は強いですね。例えば、YouTubeも若干そうかと思います。昔からいる人には、慣れだったり親近感を抱くので、芸歴というか、YouTube歴が長い方が、有利になるのかなとも思います。
まとめ
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。
マーケティングのフレームワークの王道というか代表格とも呼べるこのSTP分析は、その知名度の通り、上手く使えば破壊力が抜群です。ですが、そのシンプルさ故に、「簡単じゃん!」と、分析が足りないと、良さを発揮できません。どう使うか?が大切です。要点を押さえているか、否かでは、雲泥の差が出てくると思います。
また、自分がSTP分析を使って事業をしたりする立場じゃなくても、知っていれば、世界の見方が変わるというか、「この企業は本当に経営戦略が優秀だな!感心!」などのように、ふつ~に街中を歩いていても、様々なことがケーススタディのように捉えられるようになり、より人生が楽しくなるのかな、とも思います。
この記事が、少しでも何かのお役に立てれば幸いです。
ではっ。