認知的不協和理論とは?網羅的に解説します。【マーケティング】
この記事は、この様な方へ向けて書いています。
心理学的な内容ですが、マーケティングに活かすことができる知識なので「全ての」マーケッターにおすすめです。
※また、少し専門的な内容になるので、ゆっくりと読み進めることをオススメします。
この記事の内容は、
- 認知的不協和理論とは何か
- どんな実験により提唱されたか
- 認知的不協和理論の良い使い方
- 認知的不協和理論の悪い使い方
- マーケティングに活かす方法
上記の通りです。
では、書いていきますっ。
認知的不協和理論とは?
認知的不協和理論の前に、「認知的不協和」(cognitive-dissonance)という心理状態について記述します。
認知的不協和とは、「2つの異なる矛盾した認知」が同時に存在する時、その状況に対して「不快感を抱いている心理状態」のことです。
例えば、
- 「自分は大切な存在である」
- 「周りから大切に扱われない」
という2つの認知は互いに矛盾していると捉えることもできます。
この様な場合、どちらかの認知を変えることにより一貫性を高め、「認知的不協和」の状態を回避しようとします。
上記の例では、「自分は大切な存在である」というのは多くの人にとって変えるのが難しいので、比較的に簡単に変えられる「周りから大切に扱われない」という方の認知を変更しようとする傾向にあります。
この様に、人間は、比較的に簡単で、都合のいい方の認知を変更し、認知的不協和を回避しようとする傾向があるという理論を「認知的不協和理論」と呼びます。
認知的不協和理論の悪い使い方
認知的不協和を回避しようとする具体例を紹介しますっ。
まずは、「悪い使い方」からですね!
ぜひ、「あるある」と心の中で呟いて頂きたいです!笑
喫煙者
よく具体例として挙げられるのが「喫煙者」です。
喫煙者は「タバコは身体に悪い」という認知と、「タバコが吸いたい」という認知が両方存在していることが多いと思います。「え、タバコって身体に悪いの?」という人の方が少ないかと。
そんな中、「タバコを吸いたい」という欲求に勝てず、吸ってしまいます。
すると次は、
- 「自分の身体は大切である」
- 「タバコを吸ってしまった」
という上記の2つの認知が矛盾して、認知的不協和な心理状態になります。
すると、この認知的不協和を解消するために、「タバコを吸ってしまった」という「行動」は変えることができないので、
「少しくらい問題ない」とか「タバコを吸っても長生きする人がいる」などと「タバコは身体に良くない」という比較的に簡単で、都合のいい認知を変更しようとする傾向があります。
まさに認知的不協和理論の通りの状況ですね。
なのでこの例の様な状況では、「タバコを吸ってしまった」というミスを認めて、「もうタバコを吸わないで身体を大切にする」と切り替えるのが良いかと思いますね。
認知的不協和理論の良い使い方
認知的不協和理論の良い使い方もあります!
有名な話を挙げますね。
- すっぱいブドウ
- 甘いレモン
これはイソップ寓話からです。認知的不協和理論の解説でよく用いられるので紹介します。
すっぱいブドウ
まずは、「すっぱいブドウ」からです。
ある所にいた狐が、木に美味しそうなブドウが実っているのを発見します。狐は頑張ってブドウを取ろうとしますが結果は「取れない」。そこで狐は「どうせあのブドウはすっぱいだろう、取れなくて良かったかも!」と言って立ち去ります。
こんな話です笑
この狐の心理に認知的不協和理論を当てはめて考えると、
- ブドウが取りたい→取れない→自分は無能
- 自分は有能
この2つの矛盾した認知が同時に存在してしまっているので、「認知的不協和」状態となり「不快」というところだと思います。
そこでどちらかの認知を変更し、一貫性を保ち、認知的不協和を回避したいという心理が働きます。
ここで、「自分は有能」は恐らく変えたくないのでしょう。だとしたら、「ブドウが取りたい」を変更するのが比較的に簡単で、都合がいいと考えることもできます。
最後の捨てセリフから分かるように、認知的不協和を解消してスッキリして立ち去ります。
上記の例のような事例では、「認知的不協和を解消したかっただけで、本当は欲しかったんだろ、可哀想」という見方をされることが多いです。でも狐のように気残りがないなら、「全然OK」だと思います。実際にすっぱい可能性もあるで!
一概になんでも「認知的不協和理論」によって「認知を変更するのは良くない」とすると、かえって「正確な認知」から遠ざけています。
周りの人から「可哀想」と思われたくないために、「頑張ってブドウを取る」という選択をとるのもOKだし、周りの人の期待に応えようとし過ぎずに、「取らなくてもいいや!」と思うのも一つの手だと思いますね。
タバコの例との違いは、「タバコは身体に悪い」という事実は「変わらないもの」であるのに対して、「ブドウを取りたい」という自分の中で作りだしたものは、「変わることもある」という点が違います。
「事実を不当に歪めることは良くない」というのと、ごっちゃにしている人が多い印象ですね。
変わることになった理由が認知的不協和理論であったとしても、「ブドウを取ることができた自分」を経験することはできない以上は、「本当は取れた方が良かった」と断定することはできません。
なんなら、「取れたブドウを普通に食べた」というだけで、達成できると以外とめちゃくちゃ幸せになる訳ではない、というのがよくあることかと思います。
「ご飯食べれない可能性もあった、ご飯食べれて良かった!」ってポジティブに考えるのおすすめですっ。
甘いレモン
これもイソップ寓話からです!
どんな話かというとっ、
ブドウを取れなかった狐は、次に美味しそうなオレンジを発見します、そしてこれは「ゲットできた」のですが、食べみるとこれは「レモン」であると気がつきました。当然すっぱいです。ですが、「さっきのブドウはもっとすっぱいだろうな、レモンで良かった!」この様に呟き、幸せに歩いていきましたとさ。
みたいな感じの話です。
- レモンがすっぱくて美味しくない
- 美味しいものが食べたい
上記の2つの認知が矛盾しているので、認知的不協和な心理状態ですね。
ここで、レモンがさっきの取りそびれたブドウより甘くて美味しいから全然OK。この様に、認知的不協和を回避しています。
これは結構いろいろな場面で活かせそうですね!現状を極限まで楽しみ、「幸せを嚙みしめる」のは大切です!
認知的不協和理論が広まった経緯
1957年にアメリカの心理学者であるレオン・フェスティンガー(Leon Festinger)さんが、書いた本「認知的不協和の理論―社会心理学序説(A Theory of Cognitive Dissonance)」の中で提唱されました。
では、フェスティンガーさんがどの様な実験を行ったのか記述します。
フェスティンガーさんの実験内容
フェスティンガーさんは、学生たちに1時間の単調な作業を行わせ、それに対して報酬を支払い、次に同じ作業をする学生にその作業の楽しさを伝えさせる実験を行った。
「実際はつまらない作業を1時間した」という認知と、「楽しかったと伝える」という行った行動が矛盾しているので、認知的不協和な心理状態となり不快感を感じていると予想されます。
すると、日本で言えば、1時間の作業の割に合う「1000円以上くらい」の報酬を与えたグループよりも、
日本で言えば、1時間の作業の割に合わない「100円」くらいの報酬を支払ったグループの方が、楽しさを伝える度合いが強かったという結果が得られました。
ここから、1時間の作業の割に合う報酬をもらったグループは「つまらない作業をした」「楽しさを伝える」という認知的不協和を、
でもそれに見合った報酬をもらったからOKであると、解消したが、
1時間の作業の割に合わない報酬をもらったグループは、「つまらない作業をした」「楽しさを伝える」という認知的不協和を「報酬」によって解消できなかった為、「楽しかったからOK」というように「認知」を変更したのでは?
と考えこの実験結果とともに発表したことから、「認識的不協和理論」は広まりました。
認識的不協和理論を使った経営者の戦略
認知的不協和理論を上手く使った経営者の戦略が広く知られています。
あまり会社員にお給料を支払いたくない場合、
- やりがい
- 経験
- 社会的地位
- 楽しさ
などのお金以外を提供するという方法です。
会社にお金があった方が、倒産しづらくなると思うので、この様な戦略もあるんですね。
下手に少し賃金が高いより、賃金が低い方がかえって「やりがいがある」とか「貴重な経験である」と強く感じてもらえる可能性もあります。
認知的不協和理論をマーケティングに活かす
認知的不協和理論をマーケティングに活かせる場面をいくつかご紹介します。
- 購買に繋げる
- キャッチコピー
- アフターフォロー
こ3つが挙げられます。
では、それぞれ詳しく記述します。
購買に繋げる
消費者は、「欲しい」と思った製品を全て購入する訳ではありません。
「欲しいけど、価格が高いから、、」
「食べたいけど、太るから、、」
「遊んでみたいけど、時間がないから、、」
などと、何かしらの反対側の理由の方が大きいと判断した場合は、購入に至りません。
ですがここで、「野菜たっぷりで健康的です。」と売り出した場合、「身体に悪そう」という認知がかわるので、認知的不協和な状態になりません。
そしてそもそも、
「食べたいけど」「食べない」というのもある種の認知的不協和な状態であると言えるので、これを解消したいという心理が働き購買に至りやすくなります。
この様に、「認知的不協和を解消する」ことで購買に繋げることができます。
キャッチコピー
上記の例の様に、人は「買いたいけど買えない」という認知的不協和な状態にいる人が多いので、タイトルで「認知的不協和を解消してくれそう」と思ってもらえれば、気を引くことができます。
新しい顧客に届けたい場合、ブログ記事のタイトル、本のタイトル、YouTube動画のタイトルは、
基本的に「本の内容説明」「記事内容の説明」「動画の概要」かつ、「認知的不協和が解消できる」ことをアピールすべきです。
例えば、
「東大に受けりたければ、勉強をやめるべき」
「瘦せたければ、たくさん食べるべき」
「仕事で成果を上げたければ、たくさん寝るべき」
などの様に、「ターゲット」が抱えてそうな「2つの矛盾した認知」に着目して、認知的不協和の解消ができることをアピールすると売れやすくなると考えることができます。
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アフターフォロー
利益を長期的に上げ続けるには、「新規顧客の獲得」よりも「既存顧客の維持」の方が有効です。
なぜかというと、
皆さんは年内に「行ったことあるお店で食べる回数」と「新しいお店に行って食べる回数」だとどちらが多いですか?
また、「登録してるyoutuberの動画を見る回数」と「みたことないyoutuberの動画を見る回数」だとどちらが多いですか?
恐らく「リピート」の方が多いのでは?と思います。
なので「既存顧客の維持」が大切ですね。
「購入した」という行動は変えられないため、「失敗した」という認知をどれだけ「買って良かった」という認知にもっていけるかが重要です。
まとめ
最後まで読んでくれて、ありがとうございます!
今回は「認知的不協和理論」について網羅的に解説しました。
マーケティングに活かせる内容だったと思います。
また、認知的不協和理論を知っていれば、
認知の歪みの改善
他人の理解に繋がる
と思うので、この記事に記述した知識を日常生活に役立ててみて下さい!
ではっ。