経済学の理論の1つ、「ゲーム理論」について簡単に解説
さて、皆さんは「ゲーム理論」について、知ってますか?
ゲーム理論は経済学を知る上で重要な概念の1つです。
また、知っておくと、下記のような状況下で上手く立ち回ることができるようになるかもしれません。
- ビジネス
- スポーツ
- ゲーム(対人的なトランプなど)
ゲーム理論はしっかりと知ろうとすると奥が深いのですが、少しでも知っていると、様々な場面で知的な武器として使うことができます。多分。
そのゲーム理論について今回は簡単に解説します。
ゲーム理論とは?
ゲーム理論とは、相手と利害関係にある状況において、相手がどう行動するかを考えながら、自分がどう行動するのが最適かを導き出す為の理論です。
つまり、自分と相手の行動が、お互いに影響しあう状況で、自分の利益を最大化する為にはどう行動すればよいか?を考える時に使う理論です。
ナッシュ均衡とは?
ナッシュ均衡とは、2人以上の相手と利害関係にある状況で、それぞれが自分の利益を最大化するように行動した場合、その選択から動けなくなる状況を指す。
ようは、お互いが自分にとって最善の行動をした場合の落ち着きどころですね。
詳しくは下で例題をあげて解説します。
パレート最適とは?
パレート最適とは、2人以上の相手と利害関係にある状況で、それぞれがお互いの利益のために行動した場合の最適な行動です。
つまり、協力ありで行動した場合、集団としてみんなが最大の利益を得られる選択のことです。
これについても、詳しくは下で、有名な例題をあげて解説します。
例題 「囚人のジレンマ」
1億円を盗んだ2人組の銀行強盗犯が捕まりました。
ですが、その1億円がまだ見つかっていません。
その2人は、それぞれ別々の個室に入れられています。
この時、警察側は1億円のありかを聞き出したい訳です。
そこで、警察側が機転を利かせた提案をします。
- どちらも1億円の場所を言わなければ、それぞれ1年の懲役
- どちらか片方が1億円の場所を言えば、言った方は0年、言わなかった方は10年の懲役
- どちらも1億円の場所を言えば、2人とも懲役5年
この時、別々の個室に入れられている為、二人は話し合うことはできません。
さて、皆さんならどうしますか?
ただしこの場合、二人はそれぞれ自分の利益を最大化しようと考えています。
解説
この二人をAとBとします。
まず、A視点で考えます。
Aは自分の懲役を最小限にしようと考えます。
Aがとることができる選択は2つで、言うか、言わないかの2択です。
Bが言わない選択をする場合
- Aは言わない
- Aは言う
この時、1の場合は お互いに懲役1年
この時、2の場合は、自分は懲役0年 Bは懲役10年
Bが言う選択をする場合
- Aは言わない
- Aは言う
この時、1の場合は 自分は懲役10年、Bは懲役0年
この時、2の場合は お互いに懲役5年
これが全てのパターンです。
Bが言わない場合、Aは2の選択をした方が得である。
Bが言う選択をした場合、Aは2の選択をした方が得である。
よって、Bがどちらの選択をした場合も、Aは2の選択をする方が得である。
つまり、Aは言った方が得である。
これと同様にBも言った方が得である。
なので、お互いが合理的な判断をした場合、AもBも「言う」という選択から動けなくなる。
つまりこれが落ち着きどころである。
この状況のことをナッシュ均衡と言います。
ですが、お互いが言わなかった場合、お互いに懲役は1年なのでこれはナッシュ均衡の時よりも、お互いにとっていい結果であると言えます。
このような、お互いにとって最もいい選択をパレート最適と言います。
必ずしも、ナッシュ均衡とパレート最適は一致するとは限りません。
なのでここから学べる教訓としては、
個人が自分の利益のことだけを考えている時よりも、
お互いに協力したほうが、お互いにとっていい結果になることがあるということです。
例題 「価格競争」
街でラーメンを売っているA店、B店、c店があります。
お互いに味に差はないとします。
3社ともラーメン一杯1000円で売っていました。
ある時、A店が価格を900円に下げました。
すると、B店、C店には人がこなくなり、A店だけが儲かりました。
このままではダメだと、B店も900円に下げました。
すると、B店にも客が来るようになりました。
ですが、C店もこのままではダメだと思い900円に下げました。
すると、お客さんは最初と同じく、均等に3店に散らばりました。
今度はB店が先に値下げしました。
すると、A店、c店も値下げしました。
これを繰り返して、A店、B店、C店ともにラーメン一杯500円まで値下げしました。
ですがこれ以上値下げすると、利益が出なくなってしまいます。なので値下げは出来ません。
どこか一店舗が値段を上げようとしても、他の2店舗にお客さんが流れてしまうので、値上げできません。
3店が一斉に値上げすれば良いのですが、これは談合となってしまい、法律で禁止されています。
この状況では、3店がそれぞれ自分の利益を最大化させようとすると、もう動くことができません。
値上げしても値下げしても損だからです。
つまり、この状況がナッシュ均衡です。
そして、この街で1000円より高い価格でラーメンは売れないとすると、3店そろって1000円でラーメンを売り続ける状況が、パレート最適です。
他にも、ナッシュ均衡の例としては、携帯電話やプロバイダの料金、世界に核兵器が無くならないことも、これで説明できます。
協力ゲーム 非協力ゲーム
ゲーム理論を知る上で、協力ゲームと非協力ゲームという概念も知るべきです。
協力ゲームと非協力ゲームの区別は、ジョン・ナッシュが発表した論文で初めて定義されたものです。
協力ゲーム
協力ゲームは、プレイヤー間のコミュニケーションが可能であり、その決められた合意が拘束力を持つ場合のことを言います。
つまり、パレート最適を作ることができる可能性が高まります。
非協力ゲーム
非協力ゲームは、プレイヤーはコミュニケーションを取ることはできず、拘束力を持たない状況です。
つまり、お互いに自分にとって最適な行動に出るので、ナッシュ均衡に縛られ、それがパレート最適とは一致しない状況になっても、動けない可能性が高まります。
まとめ
どうでしたか
経済学を知る上で、重要な概念であるゲーム理論と、ゲーム理論を理解する上での単語ナッシュ均衡とパレート最適、また、ゲーム理論の前提知識として協力ゲームと非協力ゲームについて記述しました。
今回書いた内容は、ゲーム理論の入り口の入り口なので、まだまだゲーム理論は奥が深いです。
興味を持った方は、僕の他のゲーム理論の記事を参考にしてください。
ゲーム理論の考え方は、日常生活の様々な場面で応用することができるので、ぜひこの記事の知識を普段の生活にご活用ください。